福岡市動物園について

職員による雑誌等への寄稿文

電気と九州2009年8月号 経理の仕事

投稿日 : 2011年8月13日

人事異動による福岡市動物園への勤務となって、1年と数ヶ月が経ちました。私は物品購入やその支払いなど主に経理業務に従事しています。経理の中でも、動物たちが食べるエサの契約や支払いに関する業務がその多くを占めています。(私がいないと動物園の円滑な運営はできないと勝手に自負しています。)
動物園で購入しているエサの種類は100品目余り、600点ほどの動物に20人の飼育員さんたちが毎日朝早くから準備して給餌しています。
転勤して来た頃は、毎月エサ代の支払いを行っているものの、どの動物がどのような物をどの程度食べているか、全くわからないままでした。現在もわからないことが多いですが・・・・・
 ある日、某栄養ドリンクの請求書が届いた時には「これ、何」と思い、発注元を探したところ、ケガをした動物の治療を行っている動物医療センターでした。栄養ドリンクは、類人猿の動物は苦いものを受けつけないため、投薬が必要なときは栄養ドリンクに混ぜて与えているとのこと。また、いざという時のために、薬がいらないときでも、栄養補給の観点から与えることもあるとのこと。大変勉強になりました。
 去年の冬の話です。チンパンジーが鼻水をたらしているところを見かけた担当飼育員さんは、風邪をひいてしまうのではないかと心配し、他の動物園で白ネギをチンパンジーに与えていることを思い出し、試しにあげてみたいと相談されました。昔から、ネギは風邪の予防になるというおばあちゃんの知恵袋的なものです。契約している八百屋さんからまずは1㎏購入し、早速、飼育員さんが与えてみると、4頭のチンパンジーたちは喜んで奪い合って食べていたとのこと。10日後には0.5㎏追加しました。    
 その後、「白ネギを食べるチンパンジー」がちょっとした話題となり、地元のみならず、全国放送のニュースでも取り上げられました。ちなみに、この冬彼等は風邪を引かなかったそうです。私はただ白ネギを注文しただけなのですが、動物園で働いているという実感がわいた経験のひとつです。(やはり私がいないと・・・)
 なお、チンパンジー4頭に対して1.5㎏の白ネギというのは少ない印象を持たれるかもしれませんが、むやみには増やせないとのこと。理由は、摂取カロリーに配慮しているためで、動物園の動物たちもメタボは敵なのです。(私にも大変参考になりました)
 福岡市動物園では、去年の8月からお客様が自らエサやりを体験できるコーナーを3ヶ所設置しました。1カップ100円と有料ですが、ツシマジカにはパンを、ヒツジやヤギ、ウサギ、モルモットには野菜スティックを与えることができます。もちろん、一日の摂取量を考えての量ですので、たくさんというわけにはいかず、ご来園いただいた時には完売しているかもしれませんが、動物園へお越しの際は、是非エサやりにチャレンジしてみてください。夏場はお客様の足が遠のくため、動物たちもお待ちかねです。

                         庶務係 吉永 忍
福岡市動物園公式ブログ

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