福岡市動物園について

職員による雑誌等への寄稿文

動物園コラム ただ今修行中

投稿日 : 2008年7月20日

動物園に配属になってから2年と3ヶ月が経ちました。普段は、他の動物園とやり取りしたり、資料を作ったりするため、机に座っていることが多いのですが、1日1回午前中に園内を巡回しています。毎日目にする動物たちも、日によって様々な表情を見せてくれます。
また、ゾウのトレーニングがある朝9時と昼1時15分頃にはゾウ舎でトレーニングの様子を監視しています。ゾウは、ご存じのとおり陸上では最大の動物なんですが、とっても臆病な動物です。音にも臭いにも敏感で、少しでも気になることがあると、さーと引いてしまいます。私もなかなか気を許してもらえませんでした。1日2回×週4日×2年3ヶ月間、ゾウのトレーニングに立ち会ってきましたが、この頃やっと手渡しでエサを与えることができるようになり、トレーニングのまねごとをしています。(写真:左)

うちのゾウは2頭ともメスで、はなこが推定37才、おふくが推定58才です。はなこは、2才で来園以来、現在の獣舎に住み始めて35年になります。以前は人のいうことをよく聞くおとなしいゾウだったらしいのですが、3年前の地震以来落ち着きが無くなったそうです。

おふくは、はなこより2年遅れで来園しましたが、その時既に20歳くらいになっており、今では親子のような関係です。おふくは、大変臆病で、外にでるときはいつもはなこの後について行きます。おふくが先頭で外にでたのは、ここ5,6年で1回しかありません。
今、新しいゾウ舎の建築のため、造成工事を動物園正門のすぐ横で行っています。もうすぐゾウ舎の建築工事が始まり、来年の3月までには完成する予定になっています。そして、来年の5月頃には、ゾウの引っ越しがあります。引っ越しの方法については、担当者で話し合い、古い獣舎と新しい獣舎を通路でつないで、誘導することになり、そのための訓練を昨年の11月から始めています。
<写真:右は新しいゾウ舎のイメージです。>

34年間暮らした家を出て、新しいゾウ舎への1歩を踏み出すことは、ゾウにとっては、私達からは想像もできないような大変なことです。
引っ越しまでの10ヶ月間、2歩進んでは1歩さがりながらも、少しずつ進歩を重ねていく様子を、見守ってください。
飼育展示係長 安河内清文
福岡市動物園公式ブログ

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