2009年6月,福岡市動物園にツキノワグマの子グマ「ゲンキ」が入園しました。母グマは,長野県の住宅地に何度もあらわれたため,住民の安全のために殺されましたが,巣穴に残されていたオス(元気・ゲンキ)とメス(美海・ミミ)の2頭の赤ちゃんグマが保護され,2007年3月に長崎県の佐世保市亜熱帯動植物園にやってきました。
佐世保市亜熱帯動植物園での2頭の様子をつづった「やんちゃ子グマがやってきた(あんずゆき文フルベール館発行)」が青少年読書感想文全国コンクールの2010年度課題図書に選ばれ,当園にも「ゲンキ君はどうしていますか」とのお問い合わせがきております。このため,担当飼育員が「ゲンキ」のことをまとめましたので,お知らせします。
○生年月日 2007年2月2日(推定) 入園当時2歳,現在3歳半
○体重 入園当時は約80キロ
現在は体重測定が困難なためわかりません
○愛称 ゲンキ(当園ではカタカナ表記しています。)
入園当初の様子
佐世保にいるときからの恐がり屋さんで,普段聞かない物音や,放飼場のわずかな変化にも気づくと驚いてパニックになりました。お隣のメスのハナコにも最初は驚き,逃げ腰になっていました。
また,人の手で育てられたため,とても人なつっこい性格でした。
入園1か月から最近の様子
1か月もするとハナコにも慣れ,今ではハナコが何をしていようが気にならない様子です。
この1年間,放飼場に樹木を入れたり,ちょっとした遊具を入れたりと,放飼場を少しずつ変化させたためか,恐がりな性格も少しずつなくなり,最近では物怖じすることは少なくなってきました。
顔にはまだ幼さが残るものの,体つきは芯からがっしりしてきて,まだまだ成長しそうです。
脚,腰,手,咬む力など,力強さも増す一方で,舌や手を器用に使えるようになってきました。
ツキノワグマは,子グマを連れた母グマ以外は単独で暮らします。「ゲンキ」は飼育員との接触のなかで育ってきたため,最初は早々に飼育員離れをすべきと考えていましたが,突然離れるとストレスを感じるようだったので,時間のある時に声をかけたり,顔を見せる回数が多くなるよう工夫しています。
えさについて
一日数回えさを与えます。生のニンジン,サツマイモ,リンゴをサイコロ状に切ったものと青刈りを日に3,4回放飼場にばらまいておきます。夕方寝室内で蒸かしたニンジン・サツマイモ,リンゴ,ミカン類,ブドウ(季節によってイチゴ・柿に変更),バナナ,コマツナ,キャベツ,パン,トマト,クマ用ペレットを毎日与えます。週に2回蒸かし卵,ヨーグルトを,そして時々ハチミツも与えます。
夏はハチミツを水で溶いたものに,サイコロ状に切ったニンジン,サツマイモ,リンゴを混ぜて氷らしたものを午後に与えると,喜んで食べます。
大好きなのはリンゴ,バナナ,ヨーグルト,嫌いなものはコマツナとキャベツです。
将来について
飼育員が大好きで,ハナコのような他のクマに興味をあまり示さない様子を見ていると,将来お嫁さんを受け入れてくれるのかが少し心配です。
皆さんも,ぜひ「ゲンキ」に会いに来てください。