ツシマヤマネコの大移動について
2010年11月01日
長崎県対馬で絶滅の危機に瀕しているツシマヤマネコを,当園では1996年より飼育に取り組み,これまでに39頭の赤ちゃんが生れ,うち25頭が当園を含む5つの動物園と対馬にある環境省の野生生物保護センターで飼育されています。
飼育下での健全な個体群を確立するため,先月13日,当園から3頭を搬出し,28日,4頭を当園に受け入れる,ツシマヤマネコ大移動を実施しました。一部は飛行機で移動しました。写真は,航空会社の職員の方にケージを計測してもらっているところです。
以下,移動したツシマヤマネコをご紹介します。
対馬から始めて当園にきた№1の元(はじめ)ちゃんです。高齢のため,ふる里対馬にかえりました。元ちゃんは当園で13頭のパパになり,娘の13番が10頭の赤ちゃんを生んで,繁殖に大変貢献しました。現在11頭の子孫が各施設で飼育されています。元ちゃんは野生には帰らず,対馬野生生物保護センターでのんびり余生を過ごします。
2002年,当園で生れたメスの№13です。元ちゃんの娘で,ちょっぴり神経質でしたが10頭のママになりました。新天地,佐世保市亜熱帯動植物園でも赤ちゃんに恵まれるよう祈りながら送り出しました。元ちゃんと似ているかどうか,上の写真と比べてみてください。
2003年,当園生まれのオスの№20です。今年5月から左の獣舎で公開していました。ZOOスポットガイドでは写真のように飼育員の手の動きを見て立ち上がる,とてもおちゃめなネコでした。東京の井の頭自然文化園に行きました。
2003年当園で生れ,2006年横浜市よこはま動物園(ズーラシア)に行ったメスの№18が帰ってきました。古巣のせいか,すぐ当園になじみました。
2006年当園で生れ,2008年富山市ファミリーパークに行き,「もも」という名前をつけてもらって公開されていたメスの№39も帰ってきました。名前のとおり,とってもかわいいヤマネコです。
2004年,対馬市上対馬町で保護されたオス,№45の「エビゾウ」です。保護された時,なぜかエビフライを食べていたことから対馬で「エビゾウ」と呼ばれていました。名前のせいか,当園でも堂々としています。
2009年12月28日に対馬の厳原町で保護されたオスの№60です。対馬は北の上島と南の下島の間に湾があり,橋でつながっていますが,厳原港や対馬空港のある下島で生体のツシマヤマネコが発見されたのは四半世紀ぶりだそうです。当園ではまだまだ巣箱にこもりがちです。
この移動で,2005年当園で生れ,2006年に対馬野生生物保護センターに行ったオスの№36が富山市ファミリーパークへ,2007年当園で生れ,同年対馬野生生物保護センターに行った№41が井の頭自然文化園へ移動しました。
現在当園では,ツシマヤマネコ舎の右の獣舎に,№20と双子のメス№21を,左の獣舎に昨年6月に当園で生れたオスの№49を,ツシマヤマネコのことを皆さんに知っていただくために展示しています。この2頭をふくめ,当園では11頭のツシマヤマネコを飼育しています。
来園の春,それぞれの動物園から明るいニュースが発表されることを関係者一同願っています。