福岡市動物園について

職員による雑誌等への寄稿文

電気と九州8月号 動物園閑話

投稿日 : 2008年12月18日

福岡市動物園は、平成18年から、人と動物にやさしい動物園を目指してハード面の再整備工事を行なうとともに、ソフト面でも、より動物園を楽しんでいただくため、今年4月から企画運営のポストを新設し、私が赴任してきました。
 動物や施設の話は、それぞれ専門の係りにおまかせするとして、今回は、私が動物園で出会った話をご紹介します。

キツネとタヌキ
こうろくん

 かぐや姫や親指姫、シンデレラなど、洋の東西を問わず、昔から、子宝に恵まれず、竹や花からこどもを授かったり、産後の肥立ちが悪かったのかどうかは知りませんが、実母が早世する物語は多く、無事生まれ、母子ともに無事生きることの困難さが語りつがれてきたような気がします。
 動物園でも、ブリーディング・ローンといって、繁殖のために動物を他園から借りてきても、繁殖がうまくいかなかったり、生まれても育たず、命のはかなさを思い知らされます。
 ある日、福岡市内の鴻臚館近くで巣から落ちたフクロウ(こうろくん)が保護され、野生動物の治療をする動物医療センターに届きました。元気になって、しばらく園内に仮の獣舎をつくってもらって、お客様に愛嬌をふりまいておりましたが、骨折が原因で治療の甲斐なく亡くなりました。本当は巣から落ちた時、生きてはいけなかった命ですが、動物園に来て、多くのお客様を元気にするという天命を全うして逝ったのだと思っています。
運がよければ

 動物園では、運がよければゴリラがコップで水を飲む姿や、キリンが地面に座り込んでくつろぐ姿(自然界で座り込んだらライオンに食べられてしまいます。)が目撃できます。友人は、運がよければなんてだめよと言います。「電気ウナギ放電ショー午後3時から」みたいなこと期待しているようです。
 動物園に来ていただければ、マスコミが騒ぐような仕草が見られなくても、見方次第で必ずおもしろい場面に遭遇できます。雨の日だって楽しいですよ。「電気と九州」の読者の皆様のご来園を心からお待ちしております。
         

             (福岡市動物園 企画運営担当主査  大庭 かおる)
福岡市動物園公式ブログ

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