職員による雑誌等への寄稿文
電気と九州2010年2月号 動物たちの冬と(床)暖房
投稿日 : 2011年8月13日
<動物達の冬の過ごし方>
今年、福岡の1月の気温は、13日は最低温度-1℃、14日は1.1℃と、冬の寒い日が続いています。動物園の冬の風物詩といえば、サル山のニホンザル達が、サル団子をつくって、お互いを暖めあっている様子を真っ先に思い浮かべる方も多いと思いますが、福岡市動物園には約140種の動物達が住んでおり、それぞれに冬を過ごしています。ペンギンやオタリアなど、真冬でも気持ち良さそうにプールを泳いでいるすごいのもいますが、ヘビやトカゲなどのは虫類の様に、年中エアコンで同じ室温に保たれた室内で快適に過ごしている動物達もいますし、小型の鳥類など、ゲージ内に温熱電球を設置して、保温してやる必要のある動物もいます。
動物のための暖房といえば、昨年末にシシオザルの床暖房ヒーターが故障し、1ヶ月ほど前に修理したばかりなのですが、それに関連することを書かしていただきたいと思います。
<修理の経緯>
シシオザルの放飼場は、コンクリート製の床・壁、鋼製遊具と・・、寒い冬には、いかにも寒そうな様子です。ちょっと古びていますし。
床暖房ヒーターは、一段高くなったコンクリート製の台の中に、見た目ではまったく分かりませんが、設置してあります。そのヒーターの故障が分かったのは、昨年の11月です。飼育員さんが冬に備え、床暖房の電源を入れてみたところ、放飼場1基、寝室2基、計3基が故障していました。
工事見積をとると、ヒーター3基の更新の外、コンクリート床のハツリ工事、腐食の著しい配線のやりかえなども必要で、結構な見積額でした。 そのため、(維持管理費を節約しようと)、床暖房の修理はせずに、上から(シシオザルにいたずらされないように柵の遠方から)温熱電球で照らすだけで、我慢してもらえないかと提案しましたが、飼育員さんからの強い要望(愛情)に負けて、床暖房を修理することになりました。
<ヒーター工事について>
ヒーターの仕組み自体は、人用のホットカーペットと同じで、銅ニッケル合金線などに電気を流すことで発熱させ、温度センサーの信号で制御する仕組みです。
今回、採用した電気ヒーターは、まずコンクリート土台に断熱材を敷き、モルタルを下塗りし、その上にすだれ状に加工されている電線(発熱ユニット)を設置し、さらにその上にモルタルを上塗りして施工しました(写真1)。
結果は上々で、飼育員さんの話では、ヒーターの発熱効果が高く、清掃で水洗いすると、すぐにモウモウと白い湯気が立つということです。シシオザル達もよほど気に入ってくれたようで、放飼場でも、寝室でも、ずっとヒーターの上にいるそうです。(写真2)
<シシオザルについて>
動物園で働くまで、シシオザルと聞いても、どんなサルか思い浮かびませんでしたが、飼育員さんに教えてもらったところでは、実は、日本人になじみの深いニホンザルと同属の種だそうです。確かに顔をよく見ると、色彩はちがうものの、目鼻立ちはなんとなくニホンザルと似ているように見えます。
野生のシシオザルの生息地は、インドの西ガーツ山脈(平均標高900m)で樹上生活をしているとのこと。(つまり寒さには割と耐えられるそうです。) しかし、本来の生息地では、人間による環境破壊により、野生での生息数は非常に少なくなって、このままでは絶滅の危機があるそうです。
そういうシシオザルの境遇を聞くと、ここにいるサル達には、少しでも快適に過ごしてもらい、子孫をより多く残して欲しいと思いました。なにより、床暖房の上に一カ所に集まって、身を寄せ合って暖め合っているシシオザルをみると、飼育員さんの依頼通り、設置してよかったと思いました。
施設係 下川 明
今年、福岡の1月の気温は、13日は最低温度-1℃、14日は1.1℃と、冬の寒い日が続いています。動物園の冬の風物詩といえば、サル山のニホンザル達が、サル団子をつくって、お互いを暖めあっている様子を真っ先に思い浮かべる方も多いと思いますが、福岡市動物園には約140種の動物達が住んでおり、それぞれに冬を過ごしています。ペンギンやオタリアなど、真冬でも気持ち良さそうにプールを泳いでいるすごいのもいますが、ヘビやトカゲなどのは虫類の様に、年中エアコンで同じ室温に保たれた室内で快適に過ごしている動物達もいますし、小型の鳥類など、ゲージ内に温熱電球を設置して、保温してやる必要のある動物もいます。
動物のための暖房といえば、昨年末にシシオザルの床暖房ヒーターが故障し、1ヶ月ほど前に修理したばかりなのですが、それに関連することを書かしていただきたいと思います。
<修理の経緯>
シシオザルの放飼場は、コンクリート製の床・壁、鋼製遊具と・・、寒い冬には、いかにも寒そうな様子です。ちょっと古びていますし。
床暖房ヒーターは、一段高くなったコンクリート製の台の中に、見た目ではまったく分かりませんが、設置してあります。そのヒーターの故障が分かったのは、昨年の11月です。飼育員さんが冬に備え、床暖房の電源を入れてみたところ、放飼場1基、寝室2基、計3基が故障していました。
工事見積をとると、ヒーター3基の更新の外、コンクリート床のハツリ工事、腐食の著しい配線のやりかえなども必要で、結構な見積額でした。 そのため、(維持管理費を節約しようと)、床暖房の修理はせずに、上から(シシオザルにいたずらされないように柵の遠方から)温熱電球で照らすだけで、我慢してもらえないかと提案しましたが、飼育員さんからの強い要望(愛情)に負けて、床暖房を修理することになりました。
<ヒーター工事について>
ヒーターの仕組み自体は、人用のホットカーペットと同じで、銅ニッケル合金線などに電気を流すことで発熱させ、温度センサーの信号で制御する仕組みです。
今回、採用した電気ヒーターは、まずコンクリート土台に断熱材を敷き、モルタルを下塗りし、その上にすだれ状に加工されている電線(発熱ユニット)を設置し、さらにその上にモルタルを上塗りして施工しました(写真1)。
結果は上々で、飼育員さんの話では、ヒーターの発熱効果が高く、清掃で水洗いすると、すぐにモウモウと白い湯気が立つということです。シシオザル達もよほど気に入ってくれたようで、放飼場でも、寝室でも、ずっとヒーターの上にいるそうです。(写真2)
<シシオザルについて>
動物園で働くまで、シシオザルと聞いても、どんなサルか思い浮かびませんでしたが、飼育員さんに教えてもらったところでは、実は、日本人になじみの深いニホンザルと同属の種だそうです。確かに顔をよく見ると、色彩はちがうものの、目鼻立ちはなんとなくニホンザルと似ているように見えます。
野生のシシオザルの生息地は、インドの西ガーツ山脈(平均標高900m)で樹上生活をしているとのこと。(つまり寒さには割と耐えられるそうです。) しかし、本来の生息地では、人間による環境破壊により、野生での生息数は非常に少なくなって、このままでは絶滅の危機があるそうです。
そういうシシオザルの境遇を聞くと、ここにいるサル達には、少しでも快適に過ごしてもらい、子孫をより多く残して欲しいと思いました。なにより、床暖房の上に一カ所に集まって、身を寄せ合って暖め合っているシシオザルをみると、飼育員さんの依頼通り、設置してよかったと思いました。
施設係 下川 明