福岡市動物園について

職員による雑誌等への寄稿文

電気と九州2006年10月号 爬虫類と電気

投稿日 : 2007年4月24日

私は、誰もいない朝早くの動物園が好きだ。聞こえるものは、小鳥のさえずりとライオンの声、そして自分の足音。特に好きな場所は職員駐車場から、クロヒョウにかけてである。木立が生い茂り、木のトンネルを抜けると、眼前にクロヒョウ舎が飛び込んでくる。今までの木の匂いから動物の臭いに急変する。これが私の職場の臭いである。
何か「ほっとするなー」と思いながら、動物園の空気を独り占めするくらいの勢いで朝の清々しい空気を胸一杯に吸い込み「さぁ、今日もがんばるか、お客さんがたくさん来てくれたらいいな。」と思いながら、我々職員の詰め所へ急ぐ途中にあるのが、今回のお話しの主人公達の「爬虫類」が住む爬虫類館である。この場所は1日の大半を過ごす、いわば私の第2の居場所である。もちろん、第1は家庭であることは言うまでもない。
この爬虫類館には現在、15種類50匹ほどのヘビ、ワニ、カメ、トカゲ、が住んでいる。爬虫類を飼育する上で大切なのが、温度、湿度、日光である。自然界においては、それぞれの種が自分の最も好む場所を自ら選択できるが飼育下においては、そのような行動がとれない。つまり、自由がないということであり、言い換えれば私たちキーパーが彼らの「命」を握っていると言っても過言ではない。つまり、私たちキーパーは彼らの生態を熟知し、それぞれに最適な環境を人工的に作り出してやらねばならない。そのためにも、電気は不可欠である。電気の発達していない時代では、到底、熱帯産の爬虫類を飼育することが出来なかったと思われる。
現在では、タイマーによって蛍光灯(紫外線を含むもの)を点灯、消灯し、限られた空間で季節を再現し、加湿器により湿度を調節する。そして、何よりも電気により爬虫類にとって最も大事な温度管理を行う。ですから、一番困るのは、冬期に停電されることです。いくら密閉された空間とはいえ、冬場は瞬く間に温度が下がっていきます。温帯性の爬虫類は何とか大丈夫ですが、熱帯性の爬虫類は10℃より下がると危険な状態になり、5℃以下になると致死温度に近づきます。つまり、私たちの仕事はいかに上手に電気と付き合うかそしてそれをいかにして爬虫類に還元出来るかにかかっています。電気は、爬虫類にとっても私たち人間にとってもかけがえのないものであり、限りある資源です。私も爬虫類と一緒に大切に付き合っていきたいと思います。

(福岡市動物園   三宅 一平)
福岡市動物園公式ブログ

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