福岡市動物園について

職員による雑誌等への寄稿文

市政だより12月15日号中央区版 「渡来猫」

投稿日 : 2011年8月13日

日本には2種類のヤマネコが生息しています。台湾の東約200キロ,沖縄県の西表島に生息するイリオモテヤマネコと,朝鮮半島の南約50キロ,長崎県の対馬に生息するツシマヤマネコです。どちらも大昔,両島が大陸とつながっていた時,大陸から渡って来たと言われています。
 南のイリオモテヤマネコが全体に黒っぽく,年中スリムなのに対し,北のツシマヤマネコは厳しい冬に耐えるため,冬はふかふかの冬毛に生え替わり,体つきも脂肪を蓄え,コロコロとしてきます。どちらも野生での生息数が100頭前後と絶滅の危機に瀕している中、毎年ヤマネコが自動車との事故により命を落としています。
 対馬と近い福岡市動物園では,環境省と協力して,平成8年からツシマヤマネコの飼育に取り組んできました。平成12年4月には,飼育下で始めて繁殖に成功し,現在,25頭の当園生まれのツシマヤマネコが,当園を含む5つの動物園と対馬野生生物保護センターで飼育されています。
 今年の10月に,新たなペアで繁殖を試みるため,9頭のツシマヤマネコが施設間を移動しました。
 今後,各動物園からたくさんの赤ちゃんが誕生し,野生復帰していく日を関係者一同心待ちにしています。


                   動物園主査  大庭 かおる
福岡市動物園公式ブログ

ページの先頭へ戻る