職員による雑誌等への寄稿文
電気と九州2011年5月 新アジアゾウ舎完成
投稿日 : 2011年8月13日
3年をかけ、新ゾウ舎がついに完成いたしました。
経過としては、2009年8月に新しい寝室が完成、翌月に2週間かけてゾウを引っ越し、それから旧ゾウ舎の解体を行い、その後新しい放飼場を建設するという流れでした。文字で書くと簡単ですが、実際に建設を始めるととても大変でした。
建物の建設などは、飼育担当者にはさほど関係なさそうですが、ただでさえ大きな体にゾウのシンボルでもある長い鼻は、檻から2m近く離れたものや、5m以上の高さのものを触ったり引き込んだりするので、そういうことも建設業者さんと何度も繰り返し話し合いをおこなっていきました。
次に私たちが一番難しいと考えていたのがゾウの引っ越しです。旧ゾウ舎から新ゾウ舎の寝室まで30mくらいの距離を、歩かせて移動するだけの単純な引っ越しです。単純といってもゾウは臆病な性格のゾウが多く、特に「おふく」は怖がりで、いつも出ている放飼場でも「はな子」が先に外へ出てくれないと外へ出ることができないというくらいの怖がりです。そんな「おふく」と「はな子」を新ゾウ舎寝室まで歩かせるわけですが、もしゾウが外へ逃げ出すと誰も手に負えなくなりますので、そうならないように頑丈な柵を設置しました。2頭を移動させる方法ですが、追い立てて移動させる方法もありますが、ほかの動物園の移動方法を参考にしてエサなどを使い「おふく」と「はな子」にあまりストレスのかからないようゾウたちの意思で移動してもらう方法をとりました。
引っ越しは2009年9月8日から開始しました。ただエサを置いておくだけではゾウは移動してくれないので、引っ越し時は常時係員がついてゾウを呼んだり、エサを置いたりしながら、また、ゾウにトラブルが起こってないか、またトラブルを起こしたりしないように監視をしました。そういう状況で「おふく」と「はな子」は日に日に移動距離を伸ばし、9月13日に「おふく」が単独で「はな子」より先に新ゾウ舎寝室に入り、9月16日には「はな子」が単独で新ゾウ舎寝室に入ることができました。その翌17日に2頭で新ゾウ舎寝室に入りましたが、扉の近くにいたため扉を閉めることができず、その後9月21日13時30分「おふく」「はな子」2頭一緒に寝室奥の方へ行ったため、新ゾウ舎の扉を閉めることに成功しました。当初引っ越しは1ヶ月近くに長引くと予想していましたが、その半分ほどの日数で引っ越しをすることができました。しかし、そのまま「おふく」と「はな子」を新しい寝室で夜を迎えさせるのが心配だったため、その日から2日間獣舎に泊り込み、ほとんど寝ずに2頭の監視を行いましたが、深夜に寝ているところも確認できたため、無事「おふく」と「はな子」の引っ越しは無事完了しました。
次は新しい放飼場の建設です。新放飼場は旧放飼場よりも4倍広く、地面の半分が土なので今までできなかった土浴びができるようになっていますし、ゾウの重さを量れる大きな体重計も設置しました。またゾウだけでなく来園者の方も楽しめるノーズチューブや水飲み場、扉についた実物大のゾウのお尻のレリーフなど飼育係員のアイデアを生かし設置されたものもたくさんあります。
このようにいろいろな苦労がありましたが、今年2月に新アジアゾウ舎が無事完成し、3月18日にオープンすることができたのも、工事関係者のみなさん、引っ越しを頑張ってくれた「おふく」と「はな子」、そして工事期間中ご不便をおかけいたしました来園者皆様、それから建設にかかわったすべての動物園関係者の皆さんのおかげだと思っています。本当にありがとうございました。
2月16日から「おふく」と「はな子」を引っ越しと同じようにストレスをあまりかけないように放飼場へ出す練習をおこなっておりますが、まだまだ外が怖いらしく2頭が完全に放飼場へ出るということはできない状況下にありますので、来園者の皆様方には、しばらく見づらいとは思いますが、ゾウのために暖かく見守っていただければ幸いです。
飼育展示係 藤野 正和
経過としては、2009年8月に新しい寝室が完成、翌月に2週間かけてゾウを引っ越し、それから旧ゾウ舎の解体を行い、その後新しい放飼場を建設するという流れでした。文字で書くと簡単ですが、実際に建設を始めるととても大変でした。
建物の建設などは、飼育担当者にはさほど関係なさそうですが、ただでさえ大きな体にゾウのシンボルでもある長い鼻は、檻から2m近く離れたものや、5m以上の高さのものを触ったり引き込んだりするので、そういうことも建設業者さんと何度も繰り返し話し合いをおこなっていきました。
次に私たちが一番難しいと考えていたのがゾウの引っ越しです。旧ゾウ舎から新ゾウ舎の寝室まで30mくらいの距離を、歩かせて移動するだけの単純な引っ越しです。単純といってもゾウは臆病な性格のゾウが多く、特に「おふく」は怖がりで、いつも出ている放飼場でも「はな子」が先に外へ出てくれないと外へ出ることができないというくらいの怖がりです。そんな「おふく」と「はな子」を新ゾウ舎寝室まで歩かせるわけですが、もしゾウが外へ逃げ出すと誰も手に負えなくなりますので、そうならないように頑丈な柵を設置しました。2頭を移動させる方法ですが、追い立てて移動させる方法もありますが、ほかの動物園の移動方法を参考にしてエサなどを使い「おふく」と「はな子」にあまりストレスのかからないようゾウたちの意思で移動してもらう方法をとりました。
引っ越しは2009年9月8日から開始しました。ただエサを置いておくだけではゾウは移動してくれないので、引っ越し時は常時係員がついてゾウを呼んだり、エサを置いたりしながら、また、ゾウにトラブルが起こってないか、またトラブルを起こしたりしないように監視をしました。そういう状況で「おふく」と「はな子」は日に日に移動距離を伸ばし、9月13日に「おふく」が単独で「はな子」より先に新ゾウ舎寝室に入り、9月16日には「はな子」が単独で新ゾウ舎寝室に入ることができました。その翌17日に2頭で新ゾウ舎寝室に入りましたが、扉の近くにいたため扉を閉めることができず、その後9月21日13時30分「おふく」「はな子」2頭一緒に寝室奥の方へ行ったため、新ゾウ舎の扉を閉めることに成功しました。当初引っ越しは1ヶ月近くに長引くと予想していましたが、その半分ほどの日数で引っ越しをすることができました。しかし、そのまま「おふく」と「はな子」を新しい寝室で夜を迎えさせるのが心配だったため、その日から2日間獣舎に泊り込み、ほとんど寝ずに2頭の監視を行いましたが、深夜に寝ているところも確認できたため、無事「おふく」と「はな子」の引っ越しは無事完了しました。
次は新しい放飼場の建設です。新放飼場は旧放飼場よりも4倍広く、地面の半分が土なので今までできなかった土浴びができるようになっていますし、ゾウの重さを量れる大きな体重計も設置しました。またゾウだけでなく来園者の方も楽しめるノーズチューブや水飲み場、扉についた実物大のゾウのお尻のレリーフなど飼育係員のアイデアを生かし設置されたものもたくさんあります。
このようにいろいろな苦労がありましたが、今年2月に新アジアゾウ舎が無事完成し、3月18日にオープンすることができたのも、工事関係者のみなさん、引っ越しを頑張ってくれた「おふく」と「はな子」、そして工事期間中ご不便をおかけいたしました来園者皆様、それから建設にかかわったすべての動物園関係者の皆さんのおかげだと思っています。本当にありがとうございました。
2月16日から「おふく」と「はな子」を引っ越しと同じようにストレスをあまりかけないように放飼場へ出す練習をおこなっておりますが、まだまだ外が怖いらしく2頭が完全に放飼場へ出るということはできない状況下にありますので、来園者の皆様方には、しばらく見づらいとは思いますが、ゾウのために暖かく見守っていただければ幸いです。
飼育展示係 藤野 正和